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法人税と所得税の違いについて、法人と個人事業主のどちらがお得なのか?起業する際はどちらがおすすめなのかを徹底解説しました。税率だけを比較すると、利益が大きい場合は法人化した方が節税できます。実際の所は税率やコストの比較ではなく、信用など法人のメリットを重視して法人化を選ぶ事業者が多いです。

法人税と所得税の違いについて

法人税は法人の所得に課される税金で、資本金や利益・事業開始年度に応じて税率が変わります。
なお、法人にかかる税金は法人税・法人住民税・法人事業税・特別法人事業税・消費税の5種類があります。

 

今回は所得税の法人版にあたる法人税と、会社員や個人事業主などの個人にかかる所得税の違いについてまとめました。
起業する際に個人事業主と法人のどちらにするか迷っている方や、法人成り(個人事業主から法人への変更)を検討している方はぜひ参考にしてください。

 

税率の比較

 

会社に課される税金のイメージ

 

法人税の税率は15.0~23.4%。所得税の税率は5.0~45.0%です。
法人税も所得税も収入が増えるほど税率が高まる傾向がありますが、法人税の方が税率の変動幅が少なくなっています。

 

法人税の税率

 

資本金1億円以下の法人など

年800万円以下の部分
(適用除外事業者)

15.0~19.0%

年800万円以下の部分
(適用除外事業者以外)

15.0%
年800万円超えの部分 23.2~23.4%
資本金1億円超えの法人など
23.2~23.4%

※参考URL:国税庁

 

開始事業年度によって税率が変わるほか、協同組合や公益法人などは税率が異なります。
法人税の税率は事業者ごとに細分化されたルールがあるので、国税庁のサイトから詳細を確認するか税理士などの専門家に問い合わせて適用税率の確認をするようにしてください。

 

所得税の税率

 

1,000~1,949,000円 5%(控除額0円)
1,950,000~3,299,000円 10%(控除額97,500円)
3,300,000~6,949,000円 20%(控除額427,500円)
6,950,000~8,999,000円 23%(控除額636,000円)
9,000,000~17,999,000円 33%(控除額1,536,000円)
18,000,000~39,999,000円 40%(控除額2,796,000円)
40,000,000円以上 45%(控除額4,796,000円)

※参考URL:国税庁

 

控除額があるため実質税率の計算式が複雑ですが、年収900万円を超えた場合は法人税より所得税の方が高くなりやすいです。
会社員は給料に応じて所得税を払わないといけませんが、個人事業主は経費を使うなどの方法で節税することができます。

 

役員報酬がポイント

 

大量の役員報酬のイメージ

 

会社経営者の場合、会社の決算で申告した利益に対して法人税を支払い、社長や役員の報酬額に応じて個人の所得税も払わないといけません。
役員報酬を0にすれば所得税がかからずに法人税のみの納税で済みますが、社会保険に加入できなくなり、経費の私的利用疑惑などで税務署に目を付けられやすくなるデメリットがあります。

 

会社の利益が出ていて、その利益を元に経営者などが生活をするのであれば、税理士などと相談しながら報酬額を決めてください。

 

個人は税金とコストが安い

 

税金や税理士の顧問料、登記費用などの必要経費を考えれば法人よりも個人の方が安いです。
経費を使うなどの方法で税金対策しても相応の利益が残ってしまう場合は、法人にして会社の利益として法人税を払った方が税金が安くなります。

 

ただし、所得税を法人税に置き換える目的だけで個人事業主から法人成りする事業者は少ないです。
個人事業主ではなく法人(株式会社など)を選ぶ事業者は、以下の目的を持っているケースが多いです。

 

  • 法人の方が信用される
  • 法人の方がまとまった資金調達をしやすい
  • 法人じゃないと求人を出しても人材が集まらない
  • 消費税の免税事業者の期間を長くしたい(※)
  • 営業許可を取る難易度が高い業種(個人から法人へ手軽に変更できない)

 

※現在はインボイス制度の施行によって免税事業者を選択しないケースが増えています。

 

代表1人のみなど小規模な法人の多くは、税金や運営コストが高いのを承知の上で、信用と将来性を重視して法人化を選んでいます。
法人の場合は法人税や法人住民税、役員報酬に応じた所得税など税金の計算が複雑なので、税理士・会計士と相談しながら経費と利益を調整する必要性が高いです。

 

管理人Bのアイコン
 

税金とコストのことを抜きに考えても法人にするメリットがない場合は、個人事業主を選ぶことをおすすめします。
まずは業種ごとに個人事業主として活動している人が多い業界なのか調べてみるとよいでしょう。